母との対話が一歩進んだ日

ちょっと恥を忍びつつ、最近のエピソードを。

前にも書いたことがありますが、僕の母は、僕が科学者を辞めてこころと魂の分野で働くことを決めてからこの20年くらい、僕の活動を直接応援するようなことばはたぶん一度もかけていませんでした。

「なんでここまで科学の道を進んできて、国立大学の先生になる声までかかってるのに、それをすべて捨ててしまうのか。」って何年も泣いたりため息ついたりしていました。それはそれで、まあ、無理もないことです。

そして僕に言うことといえば、お金は足りているのか、どうせろくなもの食べてないんじゃないのか、などといった心配事ばかりで、僕はよほど僕の能力と自立を信じてもらえていないんだな、と受け止めていました。

ところが最近僕は、乳児期・胎児期のトラウマに取り組んできて、僕は母からの応援や、やってきた仕事への承認をほんとうは求めているということが浮上してきてしまった(少し前まで、そんなものは望むだけ無駄だと無自覚に諦めきってた)。

札幌と東京2拠点になって、実家で過ごす時間が増えたこともあって、そのことについて時々母と話すようにしているのです。

先日もそんな話をしていました。

いつもこの話題では母はピンと来ない様子なのですが、この日も初めのうちはそうでした。

そして彼女は、いつも息子に迷惑をかけないようにと思って生きている。そんな話をしました。

実際それはそうで、僕はそのことはとても感じています。

「それはわかるよ。いつもそういう気持ちでいてくれていることはよくわかってる。」

「ただ僕にとって必要なのは、心配されたり遠慮されたりする事じゃなくて、応援されることや、信頼されること、なんなら信頼の証として頼ってもらえることなんだ。意味のある大切な仕事で、あなたはちゃんとやっていけると知ってるよ、いざというときは頼りにしてるよ、とそういうことばのほうがよほど必要なんだ。」

って話をしました。

***

それでですね、よく聞いていくと、母は「ずっとそう言ってきたでしょ」と思っていたそうなのです。

えーーっ!言ってないよ!!!!

母が言うには、「私はいつもそう思ってるし、そう言ってきたのに、わたるは何を言ってるんだろう。意味がわからないなあ。」って思っていたそうなのです。

僕は初めて聴きましたよ。人が何を言ったのか、何を言っていないのか、大事な部分では厳密に覚えているわたくし。母上、これまでそんなことは言っておりません。

僕:「母さん、そう思っていたのは今初めてちゃんと母さんの口から聞いたよ。今の口調だとほんとうにそう思っていてくれたのかもしれないけれど、実際にことばで聞いたことはまずなかったよ。」

母:「あら、そうだった?むしろそれしか言っていないくらいのつもりだったのに。」

みたいなやりとりになりました。

***

母:「あなたが科学者を辞めてカウンセラーになったとき、当初こそ反対していたけれど、そのあとお父さん(数年前に他界)が『あいつは頭もいいし、何をやっても成功するはずだ。だからあいつの人生だし好きなことをやらせてやったらいいんだ』って言ってて、私もそう思ったよ。」

僕:「父さんがそう言っていた、っていう話は母さんから聞いたよ。でも母さんがそう思っていたって話は今初めて聞くよ。」

母:「そうなの?あなたはほんと頭いいし、何をやっても成功すると思ってるわよ。実際カウンセラーになってからもたいへんな道だろうに、一度も私たちに助けも求めずやってるのは、ほんとうに大したもんだなと思ってたわよ。アマゾンのジャングルいったり私にはわからない次元のことも多いし、だから私なんかが何言っても響かないだろうなとは思ってたけれど。」

僕:「いやいや、、、いや〜〜、そうだったのか・・・。今みたいに言ってくれたら、それはとても支えになるんだよ(泣)。泣いちゃうくらい嬉しいよ。」

母:「なんだ、そんなことでいいなら毎日言おうかしら(アッサリ)。」

僕:「ここは僕の性格的な弱点があって、しばらくはそう言うことばを聞かせてもらったらとても支えになるよ。ありがとう。

僕はこどもっぽいところがあって、そんなに信頼されてないなら頼るもんかって思ってたところもあるんだけれど、こう言ってもらえたら、逆にいざというときに頼れる気がするし。当面お金で困ったりしないとは思うけど。」

なんてやりとりをしたのでした。

***

母:「じゃあもしかしたら、○○(僕の弟の名前)もそんなふうに思ってるのかなあ」

僕:「うーん、それはまあわからないけれど。でも、なにが迷惑か、何が嬉しいかって、人によって全然違うし、それは勝手に想像してたら間違ってしまうと思うんだよ。ちゃんとことばで確認したら、気持ちのすれ違いでもったいないことになるのは、多少なりとも避けられると思う。」

母:「う〜ん。そうかもね。私、あなたに限らず誰ともそうして来ちゃった気がする。」

まあ書いてて、僕の子供っぽさやひとりよがりなところがだいぶ恥ずかしくもなるのですが。(^^;

親子の真実の対話っていつまで経っても難しいけれど、ちょっと進んだのがうれしかったのでシェアします。

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